ベールの戦い:白兵攻撃、全分隊+吹雪先生提出用

戦闘は更に続く、愛鳴藩国の騎士と都築藩国のウォードレスダンサーは、同じく都築藩国の理力使いと、後ほねっこ男爵領の魔法使いを守りつつ白兵戦を繰り広げていた。
「しかし、しんどい!」
九頭竜川がぼやく。
剣はこぼれした剣を交換し切れ味は戻っているものの、いかんせん疲労が見え隠れする。
緑オーマの一部隊を撃破しつつも増援も確認され、戦いの帰趨は未だ見えない。
どれだけ戦えば勝ちが見えるのか。
厳しい戦局が続いている。

「このッ!地べたすりを舐めんなッ!・・・つか地べたすりってなに?」
SVLはまだ元気そうだ。
「無駄な殺生はしたくない!雑魚は道を開けろ!!」
赤星はこの段階でまで敵に気を使っている。
「いやまったく。こんな凄惨な現場、今の子供達が大きくなる頃には在って欲しくないもんですな」
三祭も嘆息しながら剣を振るう。
まだまだいけるか?
相変わらずの面々を見て、いささかほっとする。
こんなときだが僚友たちが心強い。
「さぁ、今一度呼吸を整えよう!」
九頭竜川は剣を掲げ周囲の注意を引き、深く息をついた。
そして左手の盾で敵の攻撃をはじく。
「そして共に戦ってきた僚友をもう一度確認しろ。このみんなで勝利を掴むのだ!」

ウォードレスダンサーのらうーる、ジンジャー、浮椎吾はウォードレス未装着状態でも、その戦技を遺憾なく発揮していた。
「けっこう俺たちいけるね」
「んー、ウォードレスなしでもやれるじゃんか」
「でもつかれるな」
そして3人で苦笑した。
その間にも手と足が休まる暇は無い。
愛鳴の騎士たちを壁役として、そこから臨機応変に現れては避け、敵に痛撃を与えていた。
「なんかこのメンツで戦うのもいい感じになってきたよね」
愛鳴の騎士も笑い、
「なかなかよいお手前で」
と返す。

そして九頭竜川は思った。
ACEの吹雪先生が隣に並んで剣を振うのも、戦場とはいえなかなかよい感じだ。
ぼさぼさ頭の風采の上がらない男が大剣を自在に扱う様は、なかなかにかっこよかった。
後藤亜細亜という女の子を守る男のはずだが、以前はちょっと頼りなかった。
それでもここまで剣を振るってきたのは、我々では分かり知れない思いがあるのだろう。

隣で剣を構える吹雪先生に九頭竜川が呼びかける。
「オトナ、大人って、望まれたように振舞うのも大変なことですな!」
吹雪先生は戦場では似合わない、あいまいな笑みを浮かべ。答える。
「ええまったく・・・」
吹雪先生と並んで歩く。皆が前にそろっていた。
「でも、あれでしょー。亜細亜ちゃん」
「はい?彼女がどうかしましたか?」
九頭竜川は言葉をつなげなかった。
吹雪先生はどんな話になるのか分からずに眉をひそめる。
「かわいいですよね~」
のんきな言葉が続く。それも剣を操りつつだ。
何をいいたいのか予想が出来ない。
「亜細亜ちゃん、いい子ですよねー」
「亜細亜ちゃん泣かせたら、めーですー」
「吹雪先生、彼女をよろしくお願いします」
愛鳴の騎士、都築のウォードレスダンサー、理力使い、ほねっこの魔術師達がこぞって賛同の声を上げた。
意表を疲れた吹雪先生。絶句した。
戦場には似合わない空気になっていた。
でも心地よい空気

「守らないと・・・」
誰かがポツンといった。
「亜細亜ちゃんを守らないとね、先生」
赤星が引き継いだ。
吹雪先生はびっくりした顔をした後、表情を緩め、そして眉にぐっと力を入れた。
「ええ、私は彼女を守りたいと思います」

ハパパパパパンッ!
吹雪先生の背中を無数の手が断続的に叩いた。
意訳すると「よくいった」と言うことである。
「だったら、思いは同じ。やり遂げるだけですね」
ユーラは微笑み右手を出す。それを自然に握る吹雪先生。

あとは難しいことは何も無い。
眼前の敵を倒し、我らの大事な人を守るだけである。
後ほねっこ、都築、愛鳴の勇者達は戦場を駆け抜けた。